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広島カープリーグ優勝に見る「人材育成」の重要性

 プロ野球セ・リーグで広島東洋カープが25年ぶりにリーグ優勝を果たしました。「育成球団」の異名を持ち、ドラフトで選手の素質をチェックし、入団後に徹底的に育成するスタンスを貫いたカープの実力が、まさに開花したと言ってもいいでしょう。人材をしっかりと育てて戦力化することの大切さを、現在採用難に直面している中小企業に示してくれます。
 広島東洋カープは球団創設以来、「育成球団」として次のようなスタンスを貫いてきました。
・ スカウトが目を掛けた選手には徹底的に惚れ込み、たゆまない熱意を注ぐ。
・ 数年先を見据えたチームの編成を考慮し、ドラフトでの指名や育成の方針を定める。
・ 即戦力選手の補強も、チームの方針にかなう人間性を最重視する。
・ 練習を重ねて力をつけた選手には、1軍の試合で出場する機会をしっかりと与える。
 「育成球団」である背景には、資金力の弱さがありました。カープは、原爆で被災した街の復興のシンボルとして、官・民・財が一体となって創設された球団です。財力は慢性的に乏しく、年棒の高い即戦力の選手を獲得することは、なかなかできませんでした。
 カープにとって、ドラフトで入団した選手を球団の方針にのっとって鍛え上げることが、強くなるための最短の方法だったのです。ただ、選手の育成は一朝一夕では出来ず、長い期間を要します。また、個々の成長のタイミングがそろうとは限らず、簡単には結果へとつながりません。それでも、地元住民は募金などで球団を支え、カープの優勝に期待を寄せ続けてきたのです。
 ◎ 採用から育成の流れを作ることが不可欠
 慢性的に優秀な即戦力の人材を獲得することが難しい点では、中所企業とカープは似ているという見方があります。
 中小企業経営で重要なのは「企業理念」と「社長の考え方」にマッチした人材を採用することです。これはカープの「チームの方針にかなう人間性を最重視する」と重なります。そして、数年先を見据えた会社や部署の編成を考慮して、育成方針を定めることが大事です。企業理念にマッチした社員や社長の考え方を理解した社員には、熱意を注いで徹底的に指導にあたります。そして実力がついてきた社員には、成長の機会を与えるのです。以上のように、採用から育成の流れを作ることが欠かせないです。
 カープを優勝に導いた立役者でもある、黒田博樹投手と新井貴浩の2人は、カープがゼロから育成した選手です。2人の活躍は、しっかりと育成すると、組織に貢献する人材へと成長することを示した好例ともいえます。ゼロベースの人材を採用して育成することで、経営が上向くことが期待できます。

2016年 11月 8日