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大手コンビニでもやってしまう違法行為「欠勤・遅刻の多額罰金」にご注意!

 ◎給与の基本は「ノーワーク・ノーペイ」
 会社側から考えると、従業員の遅刻や急な欠勤は望ましいことではありません。罰則を設けたい気持ちになるでしょう。従業員の遅刻に関してペナルティを設けている会社は少なくありません。「1回につきいくら」という具合に、給与から差し引く会社も存在します。
 給与計算の基本原則となる考え方は、「ノーワーク・ノーペイの原則」です。労務の提供が履行されず、それが労働者の責任に帰する場合は、対応する賃金の支払い義務も原則として生じません。これは、労働契約法第6条が定める「労働契約は、労働者による労務の提供と、使用者による賃金の支払いとの”双務契約”」だからです。
 ただし、「ノーワーク・ノーペイの原則」はあくまでも不就労分に対して賃金を支払う義務が発生しないということです。遅刻等の制裁として、不就労分以上の賃金を控除してもいいという考えではありません。
 行政解釈においても、「遅刻・早退の時間に対する賃金額を超える減給は、制裁とみなされ、労働基準第91条に定める減給の制裁に関する規定の定めの適用を受ける」としています。もし、減給の制裁を制度として続けるならば、就業規則などの制裁の章を設け、その中に規定するなどの対応が必要です。
 ただし、遅刻や早退に制裁を加える場合には、減給額を平均賃金の1日分の半額以内にしなければいけません。1賃金支払期(通常は1ヵ月)の複数回の遅刻等に対する制裁等に対する制裁としては、減給の総額が、その支払期の賃金の10分の1以内である必要があります。従って、それら金額を超えた罰則は法令違反にあたり、その旨が記された就業規則は無効になります。
 ◎「10分の遅刻が30分単位に切上げ」の給与控除は減給に該当する
 以上のように、遅刻に関する賃金カットには、遅刻によって勤務しなかった分の賃金を控除する「給与控除」か「減給」による制裁があります。それぞれを区別して制度設計した方がいいでしょう。
 ただし、「遅刻や早退に対して、30分単位で賃金を控除する」というように、実際は10分の遅刻でも、30分遅刻したとみなされ、給与から控除するような場合は、「減給の制裁」にみなされますので、ご注意ください。
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2017年 5月 9日