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多様化する法人組織の形態、実態に即した課税制度「グループ法人税制」とは?

 平成22年以前からあった「連結納税制度」では、企業グループを一の納税主体とし税金の計算をし、また、企業グループの所得が通算され、その制度の適用は選択制となっています。一方、グループ法人税制においては、税金の計算や納税は単体法人で行いますが、100%支配グループ内の一定の取引について強制的に適用されます。円滑に資産移転ができるようにするための含み損益の課税繰り延べなど、100%支配グループ内の法人間において様々な課税上の特例措置が設けられています。
 適用となるのは、以下のような取引などがあります。
1.100%グループ内の法人の資産の譲渡等
2.100%グループ内の法人間の寄付等
3.100%グループ内の法人からの受取配当等の益金不算入
 ◎親会社から子会社への資産の移転が無税でできる
 以下のようなケースでグループ法人税制を上手に活用することのメリットは、実務上、大企業だけでなく中小企業にも恩恵をもたらします。
 ケース①
〈親会社から帳簿価額3,000万円(時価5,000万円)の土地を100%子会社へ売却した〉
 グループ法人税制において、親会社は土地売却益2,000万円を計上しますが、法人税の計算ではその2,000万円を減産し税金を計算するため、課税されません(課税の繰り延べ)。つまり、会計上の売却益2,000万円を、税金の計算上でマイナスするため、無税で子会社に資産を移転させられるというわけです。
 後に、子会社がこの土地をグループ外の会社に売却した場合等には、親会社は土地売却益2,000万円を法人税の計算において加算し、実現した利益として課税されることになります。
 ケース②
〈親会社から100%子会社へお金を1,000万円移転させた〉
 グループ法人税が適用されない場合、親会社から子会社に対する1,000万円の寄付として、親会社では寄付金控除限度額までは損金算入とし、子会社では受贈益1,000万円を益金参入されます。しかし、グループ法人税制では、親会社で全額損金不算入、子会社で全額益金不算入となります。
 また、親会社は、(受贈益の額1,000万円×持分割合100%)-(寄付金の額0円×持分割合100%)=1,000万円を、申告調整します。
 何かお尋ねしたいことがあれば、岸和田市内だけでなく、他市町村、大阪市内、大阪府内、関西圏からでもお気軽にお問い合わせください。

2017年 7月 1日